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 悪性リンパ腫

悪性リンパ腫の概要は?
おもな症状
  37℃〜38℃の発熱
リンパ節腫大(りんぱせつしゅだい)
体重減少
似ている病気
  成人T細胞性白血病
起こりやすい合併症
  免疫不全にともなう肺感染症など

悪性リンパ腫ってどんな病気?
欧米に多い病気
  イメージ画像 全身に広がっているリンパ組織内の細胞がガン化し、次第に全身の臓器を侵していく病気です。どの臓器にもリンパ組織があるため、咽頭、甲状腺、肺、胃腸、脾臓、脳脊髄など、リンパ節以外のさまざまな臓器・部位にも発生します。

悪性リンパ腫の原因は?
病原体の関与が疑われている
  イメージ画像 白血病と同じように、化学物質や、放射線など、さまざまな因子が関連していると考えられています。
 最近では、病原体の関与が推測されています。バーキットリンパ腫や、鼻腔原発NK細胞性リンパ腫(鼻腔原発えぬけいさいぼうせいりんぱしゅ)など、一部の非ホジキンリンパ腫では、EBウイルス感染が関与していると考えられてます。
 また、胃のMALTリンパ腫では、ヘリコバクター・ピロリ菌が発症に関与しています。
病原体の関与が疑われている
   ほかにも、ヒトヘルペスウイルス6型、ヒトヘルペスウイルス8型、C型肝炎ウイルスなども、発症に関与するのではないかと、推測されています。

悪性リンパ腫の発生頻度は?
近年増加傾向にあります
   人口10万人に対して、1年間で男性約9人、女性約6人の割合で発生します。
 非ホジキンリンパ腫の場合、20歳代と、壮年層に、2つの発生ピークがあります。
欧米人に多い
   欧米人では、日本人より発症頻度が高いことがわかっています。しかし、その原因は明らかになっていません。
 日本人における発生頻度は、近年とくに増加傾向にあり、その理由としては、国民年齢層の高齢化、診断技術の向上、ライフスタイルの欧米化などが考えられています。

悪性リンパ腫の症状は?
リンパ節腫大から
  イメージ画像 多くの場合、リンパ節腫脹から始まります。リンパ節のはれ・しこり・圧迫感で、頸部、脇の下、股の付け根のリンパ節がはれることです。
 通常は痛みがないため、気がついた時には、かなり大きくなっていたりします。また、複数部位のリンパ節が同時に腫大してくることもあります。
節外性リンパ腫
   日本人の場合では、リンパ節腫脹以外で起こるリンパ腫は、約40%が存在します。これは、節外性リンパ腫と呼ばれます。
 リンパ節以外の全身、ほぼ全ての臓器から発生する可能性がありますが、日本人では胃から起こる症例が多いとされています。
 節外性リンパ腫の場合も、症状が乏しく、検診などで偶然に見付かるケースがあります。
全身の倦怠感や発熱
   全身症状としては、発熱、全身の倦怠感(けんたいかん)、原因不明の体重減少、激しい寝汗、骨痛、意識障害などがあります。
 とくにホジキンリンパ腫では、38℃を超える発熱、全身のかゆみを訴えることがあります。

悪性リンパ腫の診断は?
貧血や白血球の増加
  イメージ画像 検査値の異常として、貧血(正球性・正色素性が多い)、白血球の増加(好中球や好酸球)、赤沈の亢進、血清LDH値の上昇などがあげられます。
 また、血清β2ミクログロブリン値や、血清可溶性IL(インターロイキン)-2受容体の値は、病気の勢いと相関することが知られています。
生検
  イメージ画像 診断上、もっとも重要なのは、手術によって病変部位を切り取り、顕微鏡で組織学的に検査することです。専門用語で生検といいます。病巣がどの範囲に広がっているのか(病期)を決定します。
 この検査結果で得た病期により、治療方針が異なってきます。
病期診断
  イメージ画像 病期診断では、体の表面にあるリンパ節は医師の診察でわかりますが、体内の病変に関しては、画像診断検査が必要となります。
 骨髄検査、CT、MRI、超音波検査、消化管内視鏡検査などをおこない、病変の広がりを検査します。
 近年、保健適応となったPET(ポジトロン断層撮影法)を併用することで、悪性リンパ腫の正確な病期診断ができるようになりました。
 高齢者では、半数以上が診察時にV期〜W期まで進行しています。
病期分類
   病期の分類は、一般的には以下のようになっています。
  T期
     ひとつのリンパ節領域だけに病変が存在する時期。
  U期
     横隔膜(おうかくまく)をはさんで上のみ、または横隔膜をはさんで下のみで、2つ以上のリンパ節領域が腫大している時期。
  V期
     横隔膜の上下に病変が存在する時期。
  W期
     病変がリンパ組織以外の部位に広範に及んでいる場合。

悪性リンパ腫の分類は?
ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫
   悪性リンパ腫のうち、ホジキン細胞やリード・スタインバーグ細胞などと呼ばれる、特徴的な巨細胞を認めるものをホジキンリンパ腫と呼びます。
 その他のものを、非ホジキンリンパ腫と呼びます。
ホジキンリンパ腫
   ホジキンリンパ腫は、リンパ球豊富型、結節硬化型(けっせつこうかがた)、混合細胞型、リンパ球減少型に分類されます。
非ホジキンリンパ腫
   非ホジキンリンパ腫は、多くの分類法があります。
 腫瘍細胞の性質からの分類法では、B細胞性、T細胞性、NK細胞性などに分類されます。日本人の場合、B細胞性が70%〜80%を占めます。
 進行の早さから見た分類法では、濾胞性リンパ腫(ろほうせいりんぱしゅ)の多くが含まれる低悪性度群、びまん性大細胞型などからなる中等度悪性度群、バーキットリンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫などが含まれる高悪性度群に分類されます。

悪性リンパ腫の治療法は?
ホジキンリンパ腫の治療法
  限局型の治療法
     T期、U期の限局型では、化学療法を3コース〜4コース行います。その後、病変があった部位を中心に放射線療法を行うのが、一般的な治療法です。
 この治療法では、全身に広がっているかもしれない病巣を根絶して治すことができるメリットがあります。この治療法で、大部分の人が5年以上生存します。
  全身型の治療法
     V期、W期の全身型では、化学療法を行います。
 最近では70%以上の症例で、寛解(かんかい、一時的に正常な状態になること)となり、その半数以上が10年間再発することなく生活できます。
  標準的化学療法
     ホジキンリンパ腫に対する標準的化学療法は、ABVD療法(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)とされています。
非ホジキンリンパ腫の治療法
  限局型の治療法
     T期、U期の限局型では、化学療法を3コース〜4コース行います。その後、病変があった部位を中心に放射線療法を行うのが、一般的な治療法です。
 限局型に対して、放射線療法と化学療法を併用して行った場合、70%以上の症例で、長期生存が得られます。
  全身型の治療法
     V期、W期の全身型では、強力な化学療法を行うことによって、60%〜80%の症例で寛解が得られます。2年以上寛解を継続すれば、長期生存が期待できます。
  標準的化学療法
     非ホジキンリンパ腫に対する標準的化学療法は、CHOP療法(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)とされています。
  B細胞性リンパ腫の治療法
     B細胞性リンパ腫の90%以上の症例に発現しているCD20抗原と、特異的に結合するモノクロナール抗体のリツキシマブは、前治療がある症例に単独で使用しても30%以上の奏効率を示します。リツキシマブと化学療法を併用すると、非常に効率で寛解が得られることが多くの研究によって判明しました。
 今後、B細胞性非ボジキンリンパ腫に対しては、リツキシマブと化学療法が標準的治療法になる可能性があります。
  自家造血幹細胞移植(じかぞうけつかんさいぼういしょく)
     化学療法に耐性が生じた症例や、寛解後に再発した症例には、自分の骨髄か末梢血幹細胞の移植を行う自家造血幹細胞移植と組み合わせた、大量化学療法が行われます。
 近年の研究によれば、V期・W期の全身型、外来通院が困難な一般状態での不良、血清LDHの高値が予後と相関することがわかっています。これらの因子を持つ患者さんに対しては、初回治療時から、自家造血幹細胞移植を計画することも検討されます。

悪性リンパ腫のかなと思ったら?
専門医の受診
  イメージ画像 リンパ節に異常なしこりを感じたら、血液内科専門医の診察を受けることが先決となります。
 悪性リンパ腫には多くの病型があり、最近の予後因子に関する研究の進歩により、患者さんごとに最適な治療を行う試みが、各医療機関で行われています。
 悪性リンパ腫の多くは、元気なうちに治療を開始すれば治癒することが可能な病気です。治療法については担当医と十分に相談した上で、患者さん自身が納得できる治療を受けることをおすすめします。
生活上の注意
   普通の生活や食事が可能ですが、治療中は白血球が減少していたり、免疫が抑えられたりして、感染症にかかりやすくなっています。
 完全寛解になっても、再発する可能性はあります。高熱が出たり、しこりや体重減少などの異常を感じたら、早めに病院を受診しましょう。
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